【定年後】再就職に役に立つおすすめ資格9選
定年後の再就職に役に立ち、50歳以上のシニア向きの資格にどんなものがあるか調べてみました。
人生100年時代に学び直しをしてキャリアチェンジしていく生き方もあります。
資格の種類、資格の選び方、注意すべきこともあわせてお伝えしたいと思います。
ぜひご覧ください。
この記事を読んで欲しい人
- 定年後に資格をとり再就職・独立を考えている人
- シニアが多く活躍している資格にどんな資格があるのか知りたい人
筆者プロフィール
- 定年退職後60歳でキャリアコンサルタント資格取得
- 資格取得後これまでのメーカー法人営業から就職支援の仕事に再就職を果たす
目次
資格の種類
国家資格…国が認めた資格
試験の難易度が高い傾向があり、取得するまでに時間と費用がかかる傾向があります。国家資格は4つに分類されます。
(1)業務独占資格
医師や弁護士のように、その仕事に従事するのに必ず必要になる資格です。無資格で業務を行うと処罰されます。
(2)名称独占資格
保育士、栄養士、理学療法士、キャリアコンサルタントなど、資格がなくても従事することはできますが、これらの名称を使用することはできません。無資格者が名称を使うと処罰されます。
(3)設置義務資格
旅行業務取扱管理者、衛生管理者など、特定の事業を行う際に、法律で設置することが義務づけられている資格です。
(4)技能検定
仕事上で必要とされる技能の習得レベルを国が認定するものです。機械加工、建築大工、ファイナンシャルプランナーなど111種あり、130職種(平成30年現在)に設定されています。
公的資格…官公庁や大臣が認定する資格
日商簿記検定、英検、色彩検定 など、主に省庁が認定した審査基準を基に民間団体や公益法人が試験を実施して認定する資格です。民間資格ではありますが、省庁の認可が得られていることもあり、国家資格に次いで信頼性が高い資格であると評価されています。
試験の難易度は国家資格ほどではないものの、全般的に合格率は決して高くありません。付け焼き刃の知識で取得することが難しいことが多いので、試験までに計画的に勉強をする必要があります。
民間資格…企業や民間団体などが任意で発行している資格
一番種類が多いのが民間資格で、費用も安価で時間もかからず、試験の難易度も低いものが多い傾向があります。あまりにも安易に取得ができるものは、就職などにはあまり役立てることはできないでしょう。取得したい資格が就職の場でどのような評価がされているか、よく調べてから取得しないと、時間や費用をムダにしてしまいますので注意しましょう。
資格の選び方
資格の種類について理解して選ぶ
前述でお伝えしたとおり、資格にはいろんな種類があります。
試験方法も様々ですし、登録方法、取得後の更新講習などいろんな条件がありますので詳しく調べることが大事です。
資格取得をする目的を決めてから選ぶ
なぜ資格を目指すのか。目的を明確にして選びましょう。
ぶれない軸がないと途中で挫折し時間が無駄になりかねません。
自分のこれまでのキャリアや適性を考慮して選ぶ
自分のこれまでのキャリアや適性も考慮したうえで取得する資格を選ぶことも大切です。
自分に合わない仕事を選んでしまうと若い頃よりも苦労してしまいます。
自分の今までのキャリアが活かせる資格、もしくは未経験ではあるが自身の適性が活かせそうな資格を優先して取得する事をおすすめします。
資格取得までにかかる時間や費用を把握してから選ぶ
資格取得にかかる時間や費用は、各資格によって大きな幅があります。どれくらいの時間と費用がかかるか、最初にしっかり把握しておくようにしましょう。
講習を受けて無試験でも取得できる手軽な資格を取っても、役に立つことはあまりないので、資格取得までの時間と費用はよく考えてから資格を選びましょう。
シニアに求められることが多い、ニーズの高い資格を選ぶ
シニア世代が求められている仕事は、若年層や中高年層の仕事と違ってかなり限られています。
シニア世代にニーズが高い資格やシニアが活躍しているを選ぶことも大切です。
シニアにおすすめの資格を紹介します。
定年後におすすめ資格ベスト9
1位 キャリアコンサルタント
- キャリアコンサルタントとは、学生・求職者・在職者等を対象に職業選択や能力開発に関する相談・助言を行う専門職です。2016年4月に職業能力開発促進法にキャリアコンサルタントが規定され、国家資格となりました。
- 活躍の場は、会社や組織内、就職・転職市場、人材派遣会社、教育機関だけでなく、医療・福祉の現場などへ広がっています。また、相談の方法も、対面の相談から、SNSを利用した相談、グループワークなど、ますます多彩になってきています。
資格試験合格率 | 50代 | 60代以上 | シニア合計 |
50%〜60% | 38.6% | 19.2% | 57.8% |
*年代別割合は登録者比率。2028年労働政策研究報告書 キャリアコンサルタント登録者の 活動状況等に関する調査より引用
受験資格
・厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した者(150時間の講習)
・労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験(5を参照)を有する者
・技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した者
・上記の項目と同等以上の能力を有する者
キャリアコンサルタントについて詳しくはコチラ
ポイント
- 50歳を過ぎてからチャレンジする人の割合が多い資格です。合格率も比較的高く取りやすい資格のひとつです。
- 目の前にいる相談者のために誠心誠意耳を傾けることができる人が向いています。
参考までに筆者のキャリアコンサルタントの合格体験記を紹介させていただきます。
2位 マンション管理士
- マンション管理士は国家資格です。名称独占資格なので、試験に合格した後にマンション管理士としての登録が必要になります。
-
マンション管理のスペシャリストとしてマンション管理組合の運営のほか、マンションの維持・管理に関して、管理組合の管理者等やマンションの区分所有者からの相談に応じたり、指導、援助等のコンサルティング業務を行います。いわゆる「マンションの管理人さん」ではなく、法律の知識や専門知識を得たマンション管理のプロとして活躍できます。
合格率 | 50代 | 60代以上 | シニア合計 |
8.6% | 28% | 21% | 49% |
*令和2年度試験結果より引用
受験資格
- 年齢・性別・学歴等の制限は一切ありません
マンション管理士試験について詳しくはコチラ
ポイント
- 試験の合格率は7~8%前後と難関資格の部類に入るので独学での合格は非常に難しく、信頼のおける講座などを受講することをおすすめします。
- シニアの豊富な人生経験や応対能力は、マンション管理士にとても向いています。実際の受験者年齢も40~50代で全体の50%、60代以降で20%以上占めるほどシニアに人気がある資格です。
3位 宅地建物取引主任
- 不動産・建築関連の仕事を目指すのであれば取得しておきたい国家資格です。
- 年1回しか行われない試験を約20万人以上が受験すると言われている人気の資格です。
合格率 | 50代 | 60代以上 | シニア合計 |
13.1% | 24% | 24% | 48% |
*令和2年度試験結果(年代別は令和2年就業者数)
受験資格
- 年齢、性別、学歴等の制約はありません。誰でも受験できます。
宅建試験について詳しくはコチラ
まとめ
- 就業者のシニア率が高い資格です。70歳代でも11%の方が現役で就業しています。
4位 ファイナンシャルプランナー
- 家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度などの知識を備え、相談者の夢や目標がかなうように一緒に考え、サポートする専門家が、ファイナンシャル・プランナー(FP)です。
- FP技能検定には1級、2級、3級の3つの等級があり、それぞれに学科試験と実技試験があります。学科および実技試験に合格すると等級ごとにFP技能士(例:2級FP技能士)を名乗ることができます。
3級合格率 | 50代 | 60代以上 | シニア合計 |
86% | 32% | 15% | 47% |
*2020年試験結果及び2020年9月現在年代別登録者割合(FP協会HPより引用)
受験資格
- FP業務に従事している者または従事しようとしている者
FP試験について詳しくはコチラ
ポイント
- 受験資格は特になく、合格率も高くシニアの比率が高い資格です。
- 定年退職後の独立開業のために取得する人が多い資格です。
5位 介護職
- 介護に関する資格はさまざまあり、国家資格から民間資格まで多く存在し、未経験でも取得できる難易度の低い資格から、実務経験を積んでからでないと取得できない資格もあります。
年代 | 50代 | 60代以上 | シニア合計 |
割合 | 23% | 22.4% | 46.4% |
*出典:公益財団法人 介護労働安定センタ−令和元年度介護労働実態調査より
【介護職員初任者研修 (旧ヘルパー2級)】
介護職員初任者研修は、ホームヘルパー2級に相当する資格です。全130時間の講義を受講し、修了後に約60分間の試験を合格することで、介護職員初任者研修の修了者として認定されます。
受講資格は特にありません。ホームヘルパーだけではなく、介護職全般に必要となる資格になります。
【介護職員実務者研修(旧ヘルパー1級)】
介護職員実務者研修はホームヘルパー1級に相当する資格です。より深い知識を身に着けることが必要とされます。全450時間の講義を受講することで、修了者として認定されます。
カリキュラム修了後の試験は義務付けられていませんが、受講したスクールによってはテストの受験や課題提出などを求められることがあります。
介護職員実務者研修は介護福祉士試験の受験資格のひとつに該当しますので、キャリアアップを目指したい方は取得しておくと良いでしょう。
【介護福祉士】
介護福祉士は、介護系の資格において唯一の国家資格にあたります。「介護福祉国家試験」に合格することで取得ができます。専門的な知識及び技術を有することが必要とされており、社会的な信頼も厚い資格です。
介護福祉士はその知識を活用し、他の介護職員への具体的な指導や助言を行うこともあります。そして、利用者により適切なサービスが提供されるように、他の福祉サービスの関係者たちと連携を取り、さまざまな環境整備を行います。利用者の生活を好転できるよう、行動することが必要となります。
介護福祉士試験について詳しくはコチラ
【ケアマネジャー(介護支援専門員)】
ケアマネと呼ばれることの多い介護支援専門員は、介護保険制度に基づき、介護が必要な方の心身の状況や周囲の環境などに応じて、介護サービスを利用できるようにするためのケアプランを作成します。長期(900日以上)の実務経験が必要な専門性の高い資格です。
まとめ
- シニア年代の割合が高い職種です。
- シニア世代から介護職のキャリアをスタートさせるのであれば、早めに下位の資格を取得して、介護の現場で実務を積み始めることが大切です。
6位 社会保険労務士
- 社会保険労務士は国家資格で、近年特に女性の人気が高く、定年退職後の独立開業のために資格取得を目指す人も多い資格です。
- 社会保険労務士の業務内容は、労働に関する法律全般に携わり、社会保険の加入手続を行ったり労働規約・就業規則作成などを行います。
合格率 | 50代 | 60代以上 | シニア合計 |
6.4% | 18.7% | 8.8% | 27.5% |
*令和2年度試験結果
受験資格
- 受験資格は、主に1.学歴、2.実務経験、3.試験合格の3つに分けられます。詳しくはコチラ
社会保険労務士試験について詳しくはコチラ
まとめ
- 試験は年1回、合格率も10%未満とかなりの難関ですが、シニアの割合が高い資格のひとつです。
- 令和2年の最年長合格者は78歳です。
7位 行政書士
- 行政書士とは、主に行政への許認可申請が必要となる場合に提出する書類の作成、官公署に届ける書類に関する相談業務などを行う法律の専門家です。
- 行政書士は顧客から依頼された書類作成について相談に応じることが業務として認められています。相続手続に関する相談といった個人レベルの内容から、企業の経営・法務相談といったコンサルティング業務まで、内容は様々です。
合格率 | 50代 | 60代以上 | シニア合計 |
10.7% | 14.6% | 5.5% | 20.1% |
*令和2年度試験結果
受験資格
- 年齢、学歴、国籍等に関係なく、どなたでも受験できます
行政書士試験について詳しくはコチラ
まとめ
- 国家資格の中でもシニア層の割合が20%と高く、令和2年度の試験では最年長合格者76歳、最年長申込者96歳とチャレンジされる方がいました。
8位 中小企業診断士
- 中小企業診断士は国家資格の経営コンサルタント資格です。
- 資格取得後、定年後の独立開業を目指して資格取得を考える方も多い資格です。
合格率 | 50代 | 60代以上 | シニア合計 |
1次試験42.5% 2次試験18.4% |
18.1% 12.2% |
5.1% 1.3% |
23.2% 13.5% |
*令和2年度試験結果
受験資格
- 年齢、学歴等の制約はありません。誰でも受験できます。
中小企業診断士試験について詳しくはコチラ
まとめ
- 一発合格は難しく時間がかかるのでシニア世代が挑戦するにはハードルが高い資格ですが、令和2年度2次試験最年長合格者は71歳です。
- 独学で合格を目指すのは非常に厳しい試験ですので、短期合格を狙うのであれば予備校などに通うことをおすすめします。
9位 電気工事士
- 電気工事士は、電気工事士法により定められている国家資格です。
- 電気工事士には、「第一種」と「第二種」の2つがあります。「第二種」を取得すると、一般住宅や小規模店舗等の電気設備の工事ができます。「第一種」を取得すると、工場、ビルなどの大規模な建物での電気工事もできるようになります。
合格率 | 50代 | 60代以上 | シニア 合計 |
1種32.6% 2種39.4% |
1種 6% 2種 10% |
1種 2% 2種 3% |
1種 8% 2種 13% |
*令和2年度試験結果(技能試験合格者)、年代別割合は令和元年受験者数
受験資格
- 年齢・性別・学歴に関係なく、どなたでも受験可能です。
- 試験合格後の資格免状交付については電気工事に関して3年(大学・高専において電気工事士法で定める課程を修めて卒業した方)、または5年の実務経験を経た方に交付されます。
電気工事士試験について詳しくはコチラ
まとめ
- 受験者は1種、2種とも「電気工事会社」に勤務している人が最も多いです。
- 「電気工事会社」「ビル管理・メンテナンス・商業施設保守会社」、「電気通信工事会社」、 「建設会社」、「電気機器製造会社」にお勤めしていた方は在職中に電気工事士の資格を取得し定年後にも活かすことができます。
資格取得で注意すべきこと
多額の費用がかかるケースもある
資格によっては、多額の費用がかかる場合もあります。
例えばキャリアコンサルタントの場合は、養成講座の費用が30数万円かかります。その他試験対策講座、参考書、問題集、受験料、など含めれば50万円以上かかりました。教育給付金制度を利用すれば半分くらいになりますが費用がどのくらいかかるのか調べることが必要です。
筆者の体験談の記事を紹介します。
【キャリアコンサルタントになるための費用と時間を検証しました】
できるだけ早めにスタートすることが肝心
ほとんどの資格は、勉強をスタートしてから半年〜1年以内、早ければ3ヶ月程度で取得できますが、難関資格の場合は、試験合格までに数年を要することが普通です。
独立開業することを目指して難関資格に挑戦するのであれば、定年退職前から早めにスタートを切り、できる限り最短で取得できるように準備することをおすすめします。
資格を取ってすぐ仕事にありつけるとは限らない
資格取得は武器になりますが、特に実務経験がない場合はすぐ仕事にありつける可能性が低くなります。
定年前から実務で関連資格の仕事をしていた人であれば、資格取得後の再就職は有利になりますがそうでない場合は苦戦します。
筆者の場合はもキャリアコンサルタントの資格は取得しましたが、相談業務の経験がなく、キャリアコンサルタント求人を探しても経験者を求めるものがほとんどでなかなか採用には至りませんでした。
資格を取得した後のことも考えて準備をすすめることが重要です。
まとめ
定年後の再就職に役に立つシニアにおすすめの資格を紹介しました。
資格を目指すことで生きがいができ、それを活かし仕事ができればさらに人生にとって大きな収穫になると思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。