【大企業へ就職/転職を考えている人向け】元大企業社員が語るメリットとデメリット
「大企業に入りたい」「子供を大企業に入れたい」という人は多いと思いますが、実際はどういうところなのでしょうか?37年間、大企業に勤務した筆者が、今だから話せるメリットとデメリットについてお話したいと思います。これから大企業に就職、転職を希望される方や、子供を大企業に入れたいと思われている親御さんに是非ご一読いただけたら幸いです。
筆者プロフィール
- 東証1部上場電気機器メーカーに37年勤務
- 法人営業部門にて国内外で活動
- 2020年4月に定年退職
目次
大企業の定義
大企業といっても、どこからが大企業なのかよくわかりませんよね。詳しく調べてみましょう。
大企業の定義
まず、大企業と中小企業の違いについて解説します。
大企業は、中小企業のように法律上定められた定義がありません。
中小企業の基準は下記のとおり決められています。
出典:中小企業庁HPより
大企業とは一般的に中小企業の基準を超える企業を指しています。
メモ
業種によって資本や従業員数がバラバラなのは、製造業の場合はそれなりの設備と資本が必要だからです。
サービス業の場合は比較的低資本で始められるからです。
人数
業種によって違いますが、50人から300人以上の会社が大企業となります。
ポイント
- 製造業その他 300人以上
- 卸売業、サービス業 100人以上
- 小売業 50人以上
資本金
業種によって、資本金の額が違うようです。
ポイント
- 製造業その他 3億円以上
- 卸売業 1億円以上
- 小売業、サービス業 5千万円以上
大企業と中小企業の割合
出典:2019年版中小企業白書より
ポイント
- 大企業の数は、全体の0.3%です。
- 大企業に勤めている人の割合は、約3割です。
大企業に就職・転職した場合のメリット
大企業に入社した際のメリットについて、詳しくみていきましょう。
給料、ボーナス、退職金
大手企業の給与は、ボーナスや各種手当、昇給などを合わせると、一般的には高い傾向にあります。
手当の種類も多く、定年時の退職金制度についても規定がしっかり設けられている企業が多いと言われています。
給料
給料については、厚生労働省の平成30年賃金構造基本統計調査によると、以下のデータとなっています。
企業規模 | 月給平均(男性) | 月給平均(女性) |
大企業 | 38万7千円 | 27万1千円 |
中企業 | 32万2千円 | 24万4千円 |
小企業 |
29万2千円 |
22万4千円 |
ポイント
大企業の給料は、中小企業の給料を100とすると120くらいはもらえる計算になります。
ボーナス
厚生労働省ー毎月勤労統計調査によると、以下のデータとなっています。
規模別 | 令和元年夏季ボーナス |
500人以上 | 65万4千円 |
100〜499人 | 43万1千円 |
30〜99人 | 33万1千円 |
5〜29人 | 26万1千円 |
ポイント
大企業の場合、ボーナスを年間でみると130万円となり給料の約3ヶ月は支給されるという計算になります。
退職金
企業規模 | 勤続30年 大卒の場合 平均推定 |
大企業 | 1900万円〜2100万円 |
中小企業 |
750万円〜850万円 |
ポイント
- 大企業は、中小企業の2倍以上の退職金となります。
- 大企業の生涯賃金は2億5千万円前後といわれ経済的なメリットは大きいと言えます。
福利厚生
会社で提供される福利厚生には、下記のようなものがあります。
- 住宅手当、家賃補助
- 医療・健康
- 財産形成・ライフサポート
住宅手当・家賃補助
- 大企業の住宅手当の金額が平均で19,333円。(厚労書平成27年就労条件総合調査 1000人以上の会社)
- 家賃の75%を補助してくれる会社もあります。
医療・健康
- 健康管理センターがあり、看護師は常駐し、産業医も定期的に来られ、従業員の相談も受け付けています。
- メンタルの相談や、パワハラがあったときのホットラインがある会社もあります。
財産形成・ライフサポート・休暇制度
- 財産形成では、従業員持株制度、財形貯蓄など様々な情報提供があります。年金・保険などの制度も充実しています。
- ライフサポート面では、食堂が充実しており、三食提供している会社もあります。また、値段も安いのが特徴です。中には、昼食が無料の会社もあるようです。
- 休暇制度では、10年、20年、30年の勤続節目休暇を取得できる会社もあります。2週間くらいは取得でき、30年勤続時にはお祝い金も出る会社もあります。
ポイント
大企業は福利厚生が手厚く、充実しており、いろんな制度もありメリットがあるといえます。
ネームバリュー・社会的信用
- 「大企業に勤めていれば、経済的にも将来的にも安心」といったイメージを持たれます。社会的、個人的にも信頼を得られやすい傾向があります。子女の結婚の際も、相手が安定した会社に入っていれば、親は安心します。
- 転職の際にも大手企業の名前がステータスとなり有利になるケースもあります。
ポイント
大企業に勤めていると、社会的信用を得られやすい傾向があります。
仕事・労働環境
- グローバルに展開している会社が多く、海外出張や、海外赴任などの機会があり、語学力を身に付けることができます。
- 優秀な人が多いので、向上心のある人は刺激を受け、自己成長が図れます。
- 大企業で働くと、仕事を前に進めていくための「基本的な技術」が身に付くという点があります。例えば、文書作成術。これは筆者の経験上、レポートなどの作成時に、必要な情報をきちんと伝える文書作成技術を若いうちから徹底的叩き込まれます。
- プレゼンテーション力も鍛えられます。大勢の前で、プレゼンする機会が多く、昇格試験などもプレゼン力が求められますので、自然と力がつきます。
ポイント
大企業で、良い仕事の習慣が身につき、転職する場合も有利になります。
異動、転勤
- 異動、転勤は日常茶飯事です。上司もすぐ変わります。異動や転勤で、視野が広くなり、適応能力が高まります。その中で、自分の適性を知ることができます。
- いろんな地域で働き、いろんな人と関わることで人間的に成長します。
- いろんな土地に行けるので、各地の名所、旧跡にいけます。
ポイント
異動・転勤により、経験値が高まり、自分に自信が持てるようになります。
大企業に就職・転職した場合のデメリット
内部調整が大変
- 多くの人、組織を動かさないといけないので、内部調整に時間と労力がかかります。
- 縦割りの組織のため、決裁者(部門責任者)までに多くの関所があり、判子ラリーとなり時間がかかります。
- 物事を決める際に、事前検討するのに時間をかける傾向があり、判断が遅れるケースがあります。
注意ポイント
大企業病といわれる内向きの仕事が多く、かなりの時間と労力が必要となります。
転勤が多い
- 転勤で、国内外のどこにいくか自分で選べません。離れて暮らす親の介護などは難しいです。
- 単身赴任は避けられず、経済的、精神的負担も大きく、家族にも負担をかけてしまいます。
- 赴任先で、趣味を始めたり、新しい友人ができたりしても、継続することができず中途半端になります。
注意ポイント
地域に根差し、活動したい方は、大企業には向かないと思います。
社会的責任が重い
- 万が一、市場で品質問題などを発生させた場合、社会問題となり、ニュースや週刊誌でもたたかれることがあり会社として信用をなくし、会社としてのダメージは計り知れません。
- 会社の看板を背負っているので、安易な行動はできず、常に緊張感をもって行動しなければなりません。
注意ポイント
ネームバリューがあることで仕事がしやすい反面、そのリスクも大きいと言えます。
トップの人と話ができない
- 大企業の場合、本社勤務でない限り、社長に会うことはありません。会社のことを新聞やニュースでで知ることも多く、社長のお話は、社内ネットワークの画面をとおして聞くことが普通です。
- 大きい部署になると、部長とも直接話をすることもなく、懇談会などが定期的に行われることがあります。
- 経営幹部と直接会話できないので、仕事に対する意識実態調査など、社内のアンケート調査を行う会社もあります。
注意ポイント
組織のトップの権限は強大であり、トップの顔色を見て仕事をする雰囲気があります。
人が多い
- 人が多いので、自分の存在の小ささを感じることがあります。
- 人間関係をストレスと感じ、うつ病になる人も多いですが、代わりの人はいくらでもいるので、病気が長引き退職するケースもあります。
- ポストが少なくなり、昇進昇格の競争も激しく、役付きになれない人も多いです。
注意ポイント
大企業で役員クラスまでいく人は、よほど運がよくないと難しいと言えます。
まとめ
ポイント
- 大企業で働くことは、給料・福利厚生面などの待遇面で良い反面、仕事面での内部調整の大変さ、転勤などのリスクも大きいです。
- 企業を選ぶ際には、メリットばかり追い求めるのではなく、しっかりとデメリットも考慮し選ぶべきです。
- 自分の価値観の中で、優先すべきことを考慮し会社を選ぶことも大事です。
- 筆者の場合は、入社した会社の経営理念に共感し入社しましたので、いろんな困難に直面した場合も、軸となる会社の経営理念に立ち返ることで乗り越えてきました。
より良い会社人生を歩むために、自分のやりたいことや適性を見極め、会社を選んでください。ご健闘をお祈りいたします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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